このページでは、IPO投資家さん向けに『IPOのロックアップ』について解説していきます。
「そもそもロックアップって何?」「なんとなくは知ってるけど、初値にどう影響するか気になる」という方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、IPOのロックアップについて初心者向けに分かりやすく解説します。
このページの内容
- IPOのロックアップとは
- IPOのロックアップでよくある4つのパターン
- ロックアップが 90日
- ロックアップが 180日
- ロックアップが 90日/1.5倍条件
- ロックアップが 180日/1.5倍条件
- 初値が上昇しやすいロックアップのパターン
- ロックアップの確認方法
これだけだと「難しそう」と思われるかも知れませんが安心して下さい。
この記事を読めば、初心者の方でも5分後にはIPOのロックアップが理解できるそんな内容になっています。
少しでも、参考になれば幸いです。
IPOのロックアップとは
ロックアップとは、創業者やベンチャーキャピタルなどの大株主に対して、上場直後から一定期間(90日間・180日間など)株式を売ってはいけないという制限を設けることです。
例えば…
上場後180日の期間中、売却を行わないこと
このような制限がある理由は、多くの株式を保有している大株主が、上場後すぐに株式を売却してしまうと、株価を押し下げる原因になるからです。こういった事態を避け、安定的な株価の形成を促すため、ロックアップという制度が設けられています。
よくある勘違い
ロックアップされるのは大株主のみです。個人投資家が当選したIPOの株を初値で売却できない、なんてことは一切ないので安心して下さい。
IPOのロックアップでよくある4つパターン
パターン | 内容 |
90日間 | 上場後90日間は株価の売却を行わない。 |
180日間 | 上場後180日間は株価の売却を行わない。 |
90日間 /1.5倍条件 |
上場後90日間は株価の売却を行わない。ただし株価が公募価格の1.5倍になれば売却ができる。 |
180日間 /1.5倍条件 |
上場後180日間は株価の売却を行わない。ただし株価が公募価格の1.5倍になれば売却ができる。 |
IPOのロックアップについてよくあるパターンがこの4つです。
難しそうに感じるかも知れませんが、とても簡単です。それでは順番に解説していきます。
パターン①:ロックアップが「90日」
ロックアップが90日間の場合、大株主は上場後から90日間売却することができない制限が設けられます
例えば、5月31日に上場した(株)トリプルアイズは、ロックアップ期間が8月28日までなので、8月29日から売却できるようになります。この日数は、上場日を1日目として土日祝を含みます。
パターン②:ロックアップが「180日」
ロックアップが180日間の場合、大株主は上場後から180日間売却することができない制限が設けられます。
投資家にとって1番メリットがあるのがこのロックアップが180日間です。初値との関係性は後ほど解説します。
パターン③:ロックアップが「90日/1.5倍条件」
ロックアップが90日間の場合は、大株主は、上場後から90日間売却することができませんが、期間中でも株価が公募価格の1.5倍になれば売却ができるという条件が付きます。
例えば、上場から40日目に株価が1.5倍になれば、その翌日から売却できるようになります。さらに言えば、上場日に初値が1.5倍の値を付ければ、翌日から売却できるようになります。
ロックアップが「180日/1.5倍条件」のパターン
ロックアップが180日間の場合は、大株主は、上場後から180日間売却することができませんが、期間中でも株価が公募価格の1.5倍になれば売却ができるという条件が付きます。
実際のロックアップの例
(株)グッピーズのロックアップ
(株)グッピーズの場合、主要な株主10名に対してのロックアップは、180日が設けられています。
(株)メンタルヘルステクノロジーズのロックアップ
(株)メンタルヘルステクノロジーズの場合、主要な株主10名に対してのロックアップは、180日・一部の株主には90日/1.5倍の2つの条件が設けられています。
このようにロックアップの条件が複数ある場合もあります。
IPOのロックアップと初値の関係性は?
投資家にとっては、無条件でロックアップが設けられたIPO株のほうが、株価が上昇しやすいメリットがあります。そして1番理想的なのはロックアップが180日のパターンです。
株価は買い注文と売り注文のバランスによって決まります。長い期間ロックアップが設けられ売却しづらい状況になれば、買い注文が優勢になり、株価は上がりやすくなります。これは初値の上昇にも影響するということです。
初値が1.5倍以上なったIPOの大半が「ロックアップが180日間」
実際に2022年のIPOの実績を調べてみました。結果は、公募価格に対して初値が1.5倍以上になったIPOのほぼ全てがロックアップ180日間でした。
(株)トリプルアイズのIPOのみロックアップが90日でしたが、それ以外はロックアップが180日(一部90日)かけらています。
スクロールできます →
上場日 | IPO企業 | ロックアップ | 公募価格 | 初値 | 初値売り利益 | 騰落倍率 |
---|---|---|---|---|---|---|
04/12 | サークレイス | 180日 | 720円 | 2,320円 | +160,000円 | 3.22倍 |
06/08 | ANYCOLOR | 180日 | 1,530円 | 4,810円 | +328,000円 | 3.24倍 |
05/31 | トリプルアイズ | 90日 | 880円 | 2200 | +132,000円 | 2.50倍 |
04/28 | ペットゴー | 180日(一部90日) | 550円 | 1,295円 | +74,500円 | 2.35倍 |
02/24 | BeeX | 180日 | 1,600円 | 3,750円 | +215,000円 | 2.34倍 |
07/28 | ウネリー | 180日(一部90日) | 1,290円 | 3,000円 | +171,000円 | 2.33倍 |
04/04 | セカンドサイトアナリティカ | 180日 | 1,390円 | 3,190円 | +171,000円 | 2.29倍 |
02/17 | エッジテクノロジー | 180日 | 350円 | 694円 | +34,400円 | 1.98倍 |
09/13 | ジャパニアス | 180日 | 1,020円 | 2,010円 | +99,000円 | 1.97倍 |
04/27 | モイ | 180日(一部90日) | 470円 | 902円 | +43,200円 | 1.92倍 |
06/28 | M&A総合研究所 | 180日 | 1,330円 | 2,510円 | +118,000円 | 1.89倍 |
04/28 | クリアル | 180日 | 930円 | 1600円 | +67,000円 | 1.72倍 |
06/23 | 坪田ラボ | 180日 | 470円 | 794円 | +32,400円 | 1.69倍 |
06/27 | イーディーピー | 180日(一部90日) | 5,000円 | 8,200円 | +320,000円 | 1.64倍 |
03/03 | イメージ・マジック | 180日 | 1,740円 | 2,800円 | +106,000円 | 1.61倍 |
04/21 | フルハシEPO | 180日 | 1,140円 | 1,733円 | +59,300円 | 1.52倍 |
上場日 | IPO企業 | 吸収金額 | 公募価格 | 初値 | 初値売り利益 | 騰落倍率 |
ただし、ロックアップと公募割れした(初値が公開価格を下回った)IPOについても調べてみましたが、特に因果関係は見られませんでした。
初値との因果関係は、こちらの記事で紹介している吸収金額ほどの深くはなさそうです。
あくまでも初値の上昇にプラスアルファ要因と捉えたほうが良さそうです。
IPOのロックアップの調べ方
とはいえIPOに応募する際には、必ずロックアップについて確認しておいたほうがいいでしょう。
ロックアップの条件は、上場前に公表される有価証券報告書に記載されています。有価証券報告書は、EDINET(開示書類閲覧サービス)で確認できます。
確認したいIPO銘柄の「ロックアップについて」に、それぞれの株主にどのようなロックアップ条件が設けられているか載っています。
EDINET(開示書類閲覧サービス)にアクセスして「有価証券報告書(新規公開時)」を絞り込み、確認したい銘柄のPDFを開きます。
①左上から「ロックアップについて」で検索します。
②株主ごとにロックアップのパターンが記載されています。
まとめ
ロックアップとは、創業者やベンチャーキャピタルなどの大株主に対して、上場直後から一定期間(90日間・180日間など)株式を売ってはいけないという制限です。
ロックアップにはいくつかのパターンがありますが、投資家にとって1番メリットがあるのはロックアップ180日のパターンです。実際に初値が1.5倍以上になったIPOのほぼ全てがこのロックアップ180日でした。
ただしロックアップと初値の関係性に深い因果関係はなさそうで、あくまでも初値の上昇にプラスアルファ要因と捉えたほうが良さそうです。
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